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ドイツ、ロシアとのガス管計画を凍結 「弱腰」から転換(写真=ロイター) - 日本経済新聞

【ベルリン=石川潤】ドイツのショルツ首相は22日、ロシアとの新しいガスパイプライン(ノルドストリーム2)の認可手続きを停止すると発表した。ロシアがウクライナ東部の武装勢力による支配地域を独立国家として承認したことへの制裁だ。ロシアに弱腰と批判され続けてきたドイツが、さらなる事態悪化を避けるため、強力なカードを切った。

「この先何が起こるか誰にも分からないからこそ、いま起きていることに即座に対応することが重要だ」。ショルツ首相は記者会見でこう語った。制裁をためらえば、ロシアに誤ったメッセージを送りかねない。西側の結束の強さを示すためにも、米独の足並みの乱れの原因となってきたパイプラインの凍結が必要と判断したもようだ。

ショルツ氏はこれまでパイプラインは「民間事業だ」として制裁に消極的だった。ただ実際には、ロシアの強硬姿勢を受け、いざというときにどう凍結するかの研究を政府内で進めていた。そしてロシアが譲れないレッドラインを超えたいま、「状況が根本的に変わった」(ショルツ氏)として制裁に動いた。

ノルドストリーム2はウクライナを経由せずに独ロを直接結ぶパイプラインで、すでに工事は完成してドイツの認可待ちとなっている。完成すればドイツは安い天然ガスを大量に購入できるようになるが、ウクライナの立場を弱め、欧州のロシア依存を高めるとして米国やウクライナ、中東欧諸国が強く反対していた。

ロシアへの不信感の高まりが、ショルツ氏の背中を押した面もある。ショルツ氏がモスクワを訪れた15日にロシア政府は展開する部隊の縮小を発表したが、実際には増強が進んだ。対話を継続するとの約束も守られなかった。ベーアボック外相は22日、訪問先のパリで「ロシアはすべての約束を破った」と批判した。

ショルツ氏はマクロン仏大統領と連携し、ウクライナ東部紛争の和平への道筋を定めたミンスク合意の履行に向けて動いてきた。ウクライナのゼレンスキー大統領を説得して譲歩も引き出したが、肝心のロシアが同合意を無視して武装勢力の支配地域を独立国家として承認したことで、努力は水泡に帰してしまった。

問題は、プーチン氏がメッセージをどう受け止めるかだ。ロシアの安全保障会議副議長、メドベージェフ元大統領は22日にツイッターで「(天然ガスが高騰する)新しい世界にようこそ!」とドイツの決定を皮肉った。パイプラインが稼働せずに困るのは欧州側だとの意図をにじませた。欧州の天然ガス価格は22日、約10%上昇した。

2021年12月に就任したばかりのショルツ氏は、国内外の問題に対するリーダーシップに欠けるとして、支持率の低下に苦しんでいた。ドイツ国内でもサプライズと受け止められた今回の決断は、果たして支持率上昇のきっかけになるのか。今後のウクライナ情勢の展開は政権の浮沈にも関わってくる。

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