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イスラエルに対する「ジェノサイド」提訴、国際司法裁で審理始まる - BBC.com

イスラエルがガザ地区で集団虐殺を犯しているとの南アフリカの訴えをめぐって、国際司法裁判所で審理が始まった(11日)

画像提供, Getty Images

イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区でジェノサイド(集団虐殺)を犯していると、南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に訴えた裁判の審理が11日、始まった。南アフリカは、イスラエルがガザ「破壊」を計画しており、「国家の最高レベル」が立案に当たったと主張した。

原告となった南アフリカ政府の弁護団はこの日、オランダ・ハーグの法廷で訴えの内容を説明。裁判所に対し、ガザでの軍事行動の停止をイスラエルに命じるよう求めた。

イスラエルは12日に弁論する。訴えについて「根拠がない」と強く反発している。

ICJはこの裁判で、ジェノサイドの疑いについて見解を示すにとどまる。国際刑事裁判所(ICC)と異なり、ICJはジェノサイドなどの犯罪で個人に対して有罪・無罪の判断を示すことはできない。ただし、裁判の成り行きは注目されており、その意見は国連やその他の国際機関で重みを持つ。

南アフリカは審理前に提出した証拠の中で、イスラエルの行動について、「パレスチナ人の国家的、人種的、民族的な集団のかなりの部分を破壊することを意図していた」としている。

一方のイスラエルはこれまで自国の行為について、ハマスによる昨年10月7日の襲撃に対するもので、正当だと主張している。

「集団虐殺の意図は明らか」

この日の法廷では、南アフリカ高等法院のテンベカ・ングクカイトビ弁護士が弁論。イスラエルが「集団虐殺の意図」をもっていることは、「軍事攻撃の実施方法から」明らかだと述べた。

また、「ガザを破壊する意図は、国家最高レベルで醸成された」とした。

同じく南アフリカの代理人となっているアディラ・ハシム氏は、「パレスチナの人々の生命、財産、尊厳、人間性が毎日、回復不能なほど失われ、それが積み重なっている」と主張。

「そうした苦しみを止められるのは、この裁判所からの命令だけだ」と述べた。

南アフリカのロナルド・ラモラ法相はこの日の法廷で、イスラエルが受けたどのような攻撃も、「(ジェノサイド)条約違反を正当化もしくは擁護するものではない」と訴えた。

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イスラエルは、1948年採択のジェノサイド条約の締約国となっている。同条約はジェノサイドを国民的、人種的、民族的、または宗教的な集団の全体または一部を破壊する意図を持って行われる行為と定義。それを防ぐことを国家に義務づけている。

「平和宮」として知られるICJの建物の外ではこの日、パレスチナとイスラエルのそれぞれの支持者グループが怒りをあらわにし、オランダの警察が双方を引き離す場面もあった。

国際司法裁判所の前ではパレスチナとイスラエルのそれぞれの支持者グループがデモ行動をした(11日)

画像提供, Getty Images

イスラエル首相は南アを批判

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はICJでの審理開始について、「南アフリカの偽善は、天に向かって叫ぶほど実にとんでもないことだ」とコメント。シリアとイエメンでの「ハマスのパートナー」による残虐行為には何もしなかったとして、南アフリカを批判した。

「私たちは今日、逆さまにひっくり返った世界を目にした。イスラエルは集団虐殺と戦っているのに、集団虐殺で非難された」と首相は述べ、「イスラエルは、人道に対する罪を犯した殺人テロリストらと戦っているのだ」と強調した。

ネタニヤフ氏は今週、イスラエルはガザ住民を永久に移住させたり、ガザを占領したりする意図はないと述べている。

一方、イスラエルを支持するアメリカは、南アフリカの主張には正当性がないとの立場をとっている。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、「イスラエルは今なお続く脅威から、自国を守っている」と述べた。

アパルトヘイトとの闘いの共通性

南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は10日、「ガザの人々の虐殺が続くことに、私たちは抗議する。それが、国としてICJに訴えかける原動力となった」と述べた。

一方、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、南アフリカの訴えを「非人道的で不合理だ」と批判。

「私たちは国際司法裁判所に出廷し、人道法に基づく自衛権の行使を堂々と主張する」とした。

また、イスラエル軍は「現地の極めて複雑な状況のもとで、意図しない結果を生まず、民間人の犠牲を出さないよう、最大限の努力をしている」と付け加えた。

ICJは、イスラエルに軍事行動の停止を求める南アフリカの訴えに対しては、迅速に判断を示すことができる。しかし、イスラエルがジェノサイドを犯しているかを最終的に裁定するには、何年もかかる可能性がある。

南アフリカは、イスラエルによるガザでの軍事作戦を強く批判している。南アの与党・アフリカ民族会議は、パレスチナの大義と、南アで1994年まで続いた人種隔離と差別の政策(アパルトヘイト)との闘いには相通じるものがあるとして、長年にわたってパレスチナへの連帯を示してきた。

ICJは国連の最高裁判所にあたり、その判決は理論上、ICJの当事国(イスラエルと南アフリカを含む)を法的に拘束する。ただし強制力はない。

2022年にはロシアに対し、ウクライナでの「軍事行動の即時停止」を命じたが、このICJの命令は無視された。

ガザ地区でイスラム組織・ハマスが運営する保健当局は、今回の戦争が始まって以降、イスラエルの攻撃で殺害された住民は2万3350人を超えており、そのほとんどが女性と子どもだとしている。

昨年10月7日のハマスによるイスラエル南部への襲撃では、民間人を中心に約1300人が殺害され、約240人が人質に取られた。

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