ロシア側がザポロジエ原発を「接収」、キエフ包囲網狭める双方が義勇兵投入で泥沼化も - 東京新聞

１１日、ウクライナ南東部マリウポリで、ロシア軍の戦車から砲撃を受けた住宅（ＡＰ）

　【ドロフスク（ポーランド東部）＝蜘手美鶴】ウクライナ原子力企業エネルゴアトムは１２日、同国南部の欧州最大級のザポロジエ原発を、ロシアの国営原子力企業ロスアトムが接収したと主張していることを明らかにした。ロシア軍の攻撃は各地で続き、首都キエフ周辺では北西と北東などから包囲網を狭めている。

　米国防総省高官は前日、首都北西側のロシア軍部隊は中心部から１５キロの位置に迫っていると指摘。また食料や飲み水が欠乏する南東部マリウポリでは、ロシア軍の攻撃で救援物資の搬入ができず、市当局によると民間人の死者数は１５８２人に達している。

　ウクライナ検察当局は１２日、侵攻でこれまでに子ども７９人が死亡、約１００人が負傷し、学校など２８０以上の教育施設が損壊、７００万人が学習の機会を奪われたと発表した。

　ウクライナから国外への避難者は国連の調べで１１日、２５０万人人を突破。ゼレンスキー大統領は、１１日に市民計７万１０００人余がロシア軍が包囲する街から脱出したと説明したが、ロシア軍の銃撃による妨害のため避難のための「人道回廊」で休戦が実現していないと非難した。

◆親ロ派の自称「検察」がメリトポリの市長訴追へ

　ロシア軍はまた、制圧した南部メリトポリの市長を拉致。親ロ派武装勢力の自称「検察」が、市長をテロ容疑で訴追する構えだ。

　ロシアのプーチン大統領は１１日、外国人義勇兵（志願兵）をウクライナの戦闘地域に投入すると表明。ショイグ国防相は、中東などから義勇兵１万６０００人以上が戦闘に加わる意志を示していると主張した。ウクライナ側も、欧州などから外国人義勇兵１万６０００人以上をビザ発給などの手続きを省いて入国させており、ロシア軍との戦いが泥沼化する恐れがある。