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社説:ミャンマー国軍の弾圧 市民の殺りく即刻やめよ - 毎日新聞

 本来は国民を守るべき軍が非武装の市民を殺りくする。断じて許されない行為である。

 ミャンマーの国軍記念日に、100人以上の市民が殺害された。クーデターで民意を踏みにじった国軍は、暴力停止を求める国際社会の声に耳を貸そうとしない。

 重傷を負った40歳の男性が生きたまま火の中に放り込まれ、自宅前でデモを見ていた13歳の少年が撃たれて命を落とした。治安部隊はすれ違ったバイクに発砲し、犠牲者の葬列に銃を向けたという。

 10年前の民政移管後に国軍と停戦協定を結んでいた少数民族武装勢力が抗議デモに加勢し、国軍は空爆で報復した。半世紀以上も続く内戦が再び激化する事態も懸念される。

 クーデターから2カ月弱の間に命を落とした市民は既に400人以上となった。子どもの犠牲も20人を超えている。

 国軍は国営テレビを通じ、デモに参加すれば「頭部や背中を撃たれる危険がある」と事前に警告していた。武力によって国民を脅す卑劣なやり口だ。

 ミンアウンフライン最高司令官は記念式典で「軍は国民に寄り添っている」と演説したが、現実は懸け離れている。隣国のインドに逃れた兵士は毎日新聞に「ちゅうちょせず自動小銃でデモ隊を撃て」と命令されたと証言した。

 日米など12カ国の軍・自衛隊の制服組トップは異例の共同声明を出し、市民の殺害を非難した。ミャンマー国軍は、「自国民を傷つけるのではなく、守るのが軍の責務だ」という批判を真剣に受け止めねばならない。

 国連の安全保障理事会では、拒否権を持つ中国とロシアが消極的な姿勢を取り続けている。だが国軍の行動に歯止めを掛けるためには、国際社会が一致して圧力を強める必要がある。

 日本は茂木敏充外相が非難談話を出した。新規の政府開発援助(ODA)を供与しない方針を決めているものの、正式発表は控えている。国軍への配慮があるようだ。

 クーデターに反対し、市民への暴力を許さない立場を明確に発信すべきだ。そのうえで日本独自のパイプを使って国軍と対話し、市民の殺りくを一刻も早くやめさせなければならない。

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