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魔女狩りの風習、なぜ続く 20年で3千人が殺された - 朝日新聞デジタル

 インドの農村部では、女性を「魔女」と名指しして殺害したり、村から追放したりする「魔女狩り」が後を絶たない。一部の州では近年、魔女狩りを禁じる法律が施行されたが、それでも事件は相次ぐ。背景には何があるのか。

 インド北東部、紅茶の栽培で知られるアッサム州にある村。トタンぶきの平屋の前に招かれると、キンマの葉が机の上に置かれた。「どうぞ」。かみたばこの原料の一つでビンロウの種と石灰を混ぜたものを、その葉でくるんでかむ。口の中に入れてかむと、渋柿のように苦く、舌がしびれた。

 村に暮らす主婦のアンジャリ・ハジョンさん(45)は、眉間にしわを寄せてのみ込む私の姿を見て笑った後、10年前の自らの身に起きた事件を話してくれた。

 「近所で買い物をしていたら突然、『こいつは魔女だ!』と6人の男が私に向かって叫びました。すると、他の男たちも集まってきて一斉に魔女だと叫び、私の服を切り、ネックレスを奪い、殴ったり蹴ったりしました。何が起こったのかわからず、誰も助けてくれなかった。私は意識を失い、気づいた時には病院にいました」。命は助かったが、12日間入院したという。

 事件の5年前に15歳年上の夫と死別したハジョンさんは、2人の娘と義母との4人で暮らしていた。真夜中に「シーシーシー」と口をならす音が戸外で聞こえ、義母が窓を開けると、走って逃げる音がした。その数日後、酒に酔った3人の村の男がやってきて、ハジョンさんに性行為を迫った。

 ハジョンさんは「私はすでに結婚している」と怒り、相手にしなかった。男は「お前をずっと見ているからな」と言い放ち、つきまといが3年ほど続いた。そして、事件は起こった。魔女だと叫んだのは、この男だった。

 男は、村の資産家だった。「俺の言うことを聞いていれば、痛い目にあわずに済んだ」。そう話していた、とハジョンさんは人づてに聞いた。周囲で一緒に魔女だと叫んだ男たちと、共謀していたとみられる。「警察はお金を受け取っていたらしく、まったく動いてくれなかった。『俺たちは何もしない。お前には神が一緒にいるから問題ないだろう』と私に向かって言うだけだった」と話す。

 男たちの多くは700戸ほどの小さな村に今も住む。ハジョンさんは言う。「怖いです。でもお金はなく、別の場所に引っ越すという選択肢はありませんでした」

口裏合わせる村人たち

 インドでは、こうした「魔女狩り」によって殺された人の数は、2000年から19年までに少なくとも2975人に上る。

 どんな時に起こるのか。魔女狩…

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