危険極まりない攻撃である。中東を火の海にしないため、関係国には冷静な対応が求められる。
シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館内の建物が空爆された。イラン革命防衛隊の司令官ら少なくとも7人が死亡した。在外公館に対する攻撃は異例だ。
イランは、イスラエルの戦闘機がミサイル6発を発射したと非難し、最高指導者ハメネイ師が報復を宣言した。1979年のイラン・イスラム革命以降、両国は敵対関係にある。
イスラエル軍報道官は、破壊された建物について、革命防衛隊が在外拠点として利用する「軍事施設」との見方を示した。イスラエルはこれまでも、革命防衛隊幹部を狙った攻撃を実行してきた。
在外公館や館員の安全はウィーン条約で保障されている。第二次大戦の反省を踏まえ、自由な外交活動を守るために制定された。
そもそも自衛が目的でない限り、他国への武力行使は国連憲章やジュネーブ条約に反する。国際秩序を踏みにじる行為だ。
パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから間もなく半年になる。懸念されるのは最近、紛争が周辺に波及するリスクが増大していることだ。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは連日、イスラエル北部への攻撃を仕掛けている。革命防衛隊との関わりが深く、イランが支援している。
また紅海では、イエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエルと関係のある商船や米軍艦艇を攻撃している。米英両軍が反撃し、緊張が高まった。
ガザの人道危機は深刻化するばかりだ。犠牲者は約3万3000人に膨らみ、著しい食糧不足に陥っている。ハマスはイスラエル市民130人以上を人質に取ったままだ。
国連安全保障理事会は先週、「即時停戦」を要求する決議を初めて採択したが、イスラエルは拒否した。米国の外交圧力も効果を生んでいない。
これ以上、戦火が広がれば、世界の混乱に拍車がかかる。惨禍を一刻も早く収束させるため、国際社会はあらゆる手立てを尽くさなければならない。
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