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プーチン氏にライシ氏「これ以上の緊張に関心ない」…報復攻撃のイラン、理解求め外交攻勢 - 読売新聞オンライン

 【テヘラン=吉形祐司】イラン政府はイスラエルに対する14日の報復攻撃について、各国の理解を得ようと外交攻勢をかけている。対立の激化は望まないと主張する一方で、イスラエルから反撃を受けた場合に再び報復する可能性も示唆している。

 イランのエブラヒム・ライシ大統領は16日、ロシアのプーチン大統領と電話会談した。露大統領府によると、ライシ師は「イランの行動は限定的であり、これ以上、緊張を高めることに関心はない」と強調した。プーチン氏は当事者が自制し、新たな対立を防ぐことを望むと表明した。

 ロシアによるウクライナ侵略以降、イランは大量の無人機を露側に供給していると指摘され、両国は軍事面や経済面での関係を強めている。

 イランのホセイン・アブドラヒアン外相は15日、前日に続いて各国外相らとの電話会談を重ねた。14日以降に会談したのは、友好国ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相や中国の 王毅ワンイー 外相、アントニオ・グテレス国連事務総長らで、計20か国・機関に上る。

 イラン側の主張は、イスラエルへの攻撃が国連憲章51条に基づく自衛権の行使で、地域の平和と安定のために緊張の拡大防止が重要だという点だ。しかし、イスラエルが報復に出る可能性を考慮し、イランの反撃にも言及した。

 イランのイスラエル攻撃を非難したドイツのアンナレーナ・ベーアボック外相との電話会談では、「イスラエルが冒険主義を続けるなら、即座に大規模なカウンターパンチが出る」と述べ、さらなる報復を警告した。

 国軍報道官は、14日を上回る報復を行う方針を示し、「米英仏独の指導者はイスラエル支援をやめよ」と主張した。

 数百ものミサイルが日本に飛んできたことを想像してみてほしい。イランの攻撃は、イスラエルにとっても前代未聞の重大な事態だ。イランはドローンとミサイルでイスラエルを直接攻撃し、局面は新たになった。イスラエルには優れた防衛システムがあり、被害を最小限に抑えることができた。

 攻撃は、明らかな国際法違反だ。イランは地域の安定を脅かす存在であることが明白となった。従来、イスラム教シーア派組織ヒズボラなどの代理勢力を通じて攻撃してきたが、公然と表に出てきた。

 イスラエルは報復のためでなく、抑止のためにイランを攻撃するだろう。イスラエルには、対抗措置を取る権利と正当性がある。国際社会は、貿易の停止や外交関係の見直しなどの制裁でイランに敗北したことを悟らせなくてはならない。

 今回、イスラエルを防衛するために米英仏に加え、ヨルダンなどのアラブ諸国で「同盟」が作られたことは意義深い。イランを封じ込めるため、秘密裏に長年準備してきたのだろう。

 この「同盟」によって、戦いの構図は、イスラエル対アラブ・イスラム諸国でなくなった。レバノンやシリア、イエメンで影響力を拡大してきたイランに、アラブ諸国が脅威を感じていた証しだ。この仕組みは、パレスチナ自治区ガザでの戦闘後の統治でも生かせるはずだ。(聞き手・エルサレム支局 福島利之)

 1984年に右派リクードからクネセト(国会)議員に当選。2009~13年、ネタニヤフ政権で副首相兼情報相を務めたが、右傾化する同政権とは距離を置く。現在、イスラエル外交評議会理事長。

 イランがイスラエルを初めて直接攻撃したことで、湾岸の大国イランとガザ戦争の主役イスラエルが正面から 対峙たいじ するという、新しい中東の対決構造が形成され、域内に組み込まれた。

 中東には、パレスチナの土地を巡るイスラエル・アラブ紛争と、湾岸での石油を巡る覇権争いという二つの大きな対立軸が存在してきたが、地理的にも離れ、根本原因も異なるため、これまで一緒に結びつくことはなかった。イランが対イスラエルで表舞台に登場したことで、それが同時発生しかねない状況が生じたと言える。

 イランは45年前のイスラム革命後、イスラエル国家の壊滅を公言し、核開発を水面下で進めてきた。イスラエルはイランの核武装化を阻止するため、同国の核技術者や軍事指導者を暗殺。イランもイスラム教シーア派組織ヒズボラやイスラム主義組織ハマスなどの代理勢力を駆使して、イスラエルを間接的に攻撃する「影の戦争」を続けてきた。

 今回のイスラエル直接攻撃により、この「影の戦争」は初めて公然化した。

 影響は計り知れない。とりわけ、イランがハマスの後ろ盾として目に見えてイスラエルに対抗する形となり、ガザ戦争を巡る力のバランスは、軍事的にも政治的にも大きく変化する可能性が出てきた。

 ハマスにとっては待望の「援軍来たる」で、攻勢に転じ、停戦や人質解放の交渉などでも強気に転じる公算が大きい。

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