税制改正や気候変動対策、ヘルスケア措置などを盛り込んだ「インフレ抑制法」が16日、バイデン米大統領の署名で成立した。11月の議会中間選挙を控え、大統領は大きな勝利を手にした。
バイデン氏はホワイトハウスで、「この法で米国民が勝利し、特定利益団体は敗北した」と発言。「進歩と繁栄を米国の家庭にもたらすものだ」と語った。
同法にはバイデン大統領の政策課題の主要部分が含まれている。わずか数週間前には成立の可能性は皆無に等しいとみられていたが、７日に上院を通過した後、下院も12日に賛成220、反対207で可決。上下両院で賛成に回った共和党議員はいなかった。
バイデン氏は「はっきりさせよう。これは歴史的瞬間だ。米議会で民主党は米国民の側に立ち、共和党の全議員が特定利益団体の側についた」と指摘。「環境危機への対応、エネルギー価格の引き下げ、米国民のための高賃金の雇用創出に対し、全ての共和党議員が反対票を投じた」と強調した。
民主党が両院で多数派を維持する可能性を高める上で同法の成立が必要だった。ファイブサーティーエイトの世論調査分析によれば、バイデン大統領の支持率は40％にとどまり、55％が大統領の仕事ぶりに満足していないことが示された。
約4370億ドル（約58兆7000億円）規模の同法は、メディケア（高齢者・障害者向け医療保険制度）による薬価交渉を初めて認めることなどで高齢者向け医薬品の価格に上限を設け、負担を引き下げる。民主党が長く目指していた目標だ。
電気自動車向けの税優遇措置やクリーンエネルギープロジェクト向けインセンティブなど3740億ドル相当のエネルギー・環境対策も含まれる。気候変動対策の一件の投資としては過去最大だとホワイトハウスは指摘している。
原題：
Biden Signs Tax-Climate Bill, Marking Long-Sought Democratic Win（抜粋）
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