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ロシア、ウクライナ侵攻統括にシリア作戦の司令官(写真=ロイター) - 日本経済新聞

軍事演習を視察するロシアのプーチン大統領㊧とドゥボルニコフ司令官㊨(2020年、スプートニク提供)=ロイター

【カイロ=久門武史】ロシアのプーチン大統領がウクライナでの作戦を統括する司令官を新たに任命したと複数の欧米メディアが9日、欧米当局者の話として報じた。ロシアが軍事介入したシリアでの作戦を指揮したとされる。部隊間の連携強化で態勢を立て直し、ウクライナ東部で攻勢を強める可能性がある。

任命されたのは南部軍管区のドゥボルニコフ司令官。2015年から内戦下のシリアでアサド政権の劣勢挽回を支援する作戦を率い、市街地への爆撃で市民の死傷者を多数出したと批判された。ウクライナの作戦でも民間人の犠牲が膨らむ懸念がある。

一方、ウクライナのベネディクトワ検事総長は10日、キーウ(キエフ)州でこれまでに1222人の死亡が確認されたと英スカイニューズ・テレビに明らかにした。同州では侵攻したロシア軍が撤退後、多数の民間人の遺体がみつかっている。

ロシア軍は苦戦した首都キーウなどウクライナ北部から部隊を再配置し、東部に戦力を集中している。ロシア軍は10日、東部のルガンスク州やハリコフ州で砲撃を重ねた。米CNNによるとハリコフ州で約13キロメートルにわたるロシア軍の車列が米衛星情報会社マクサー・テクノロジーズが8日撮影した衛星画像で確認された。

英BBCは、ロシアが第2次世界大戦の対独戦勝記念日にあたる5月9日までに一定の成果を上げようとし、軍事より政治的な要請が優先される可能性があるとの欧米当局者の見方を伝えた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、AP通信のインタビューに「攻撃をやめれば弱い立場に立たされる」と述べ、徹底抗戦を続ける方針を改めて示した。「国民に拷問を加えた人々との交渉など誰もしたくない」としつつ「外交解決の機会があるなら逃したくはない」とも語り、ロシアとの協議による停戦を探る姿勢を示した。

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