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バイデン政権が新型コロナ発生源究明へ調査強化、武漢研究所も対象 - Newsweekjapan

<中国が協力しない限り真相は不明のまま終わる可能性が高いが、少なくとも1つの米情報機関は研究所由来説を疑っているという。発生源が特定できなければ、再発防止もできない>

米バイデン政権が、新型コロナウイルスの発生源である疑いが消えない中国の武漢ウイルス研究所の再調査圧力を強めている。議会も、情報開示に応じない中国政府に対する制裁に動いている。

今週初め、パンデミックが始まる直前の2019年11月に同研究所の研究員3人が体調を崩して入院するほどだったという新情報が明らかになったこともあり、ジョー・バイデン大統領は米情報機関にコロナ発生源の再調査を命じ、WHOによる武漢再調査も後押しするという。

米上院は5月25日、中国武漢のウイルス研究所への助成金支給を禁止する修正条項を審議中の法案に盛り込むことを全会一致で承認した。上院はまた、共和党のランド・ポール議員が提出した別の修正案も承認した。こちらは、中国が進める「機能獲得型」の研究(遺伝子操作でウイルスの機能を増強させるもの)に連邦政府の資金を投じることを禁止するものだ。

「中国国営の研究所、特に武漢ウイルス研究所に、連邦政府の資金を引き続き提供することは、中国との競争で優位になるため、国内の研究への支援を強化するという包括的法案の主旨に反する」と、最初の修正条項を提出した共和党のジョニ・アーンスト上院議員は述べた。「納税者のカネは1セント足りとも、共産主義中国のこの研究所の支援に使ってはならない」

またジョー・バイデン米大統領は翌26日、新型コロナウイルスの発生源に関し、武漢の研究所から流出した説も含めて徹底した追加調査を行うよう情報機関に命じた。

流出説の情報機関も

以下はAP通信が伝えた詳細だ。

バイデン政権はこれまで、新型コロナは武漢の研究所から漏れ出したという説を非科学的な見解として軽視し続けてきた。ここに来て中国に情報公開を迫る国際社会の大合唱に加わり始めた背景には、共和党の批判をかわす狙いもありそうだ。中国は国際調査を妨害した疑いがもたれているが、バイデンはこの隠蔽疑惑を厳しく追及せず、中国政府に圧力をかける機会を逸したと、共和党は不満を募らせてきた。

バイデンは情報機関に90日以内に調査報告を行うよう命じた。また国立の研究機関に情報機関の調査に協力するよう要請。情報機関には、専門家の助言を基に中国政府に提出する具体的な質問のリストを作成するよう指示した。バイデンは中国政府にも、パンデミックの発生源に関する国際調査に協力するよう改めて呼びかけた。

新型コロナは感染した動物にヒトが接触したために自然に発生したのではなく、武漢の研究所から人為的ミスで流出したものだ──ドナルド・トランプ米前大統領と共和党のトランプ派は一貫してそう主張してきた。

バイデンの声明によれば、米情報機関の大多数はこれまで自然発生説と研究所からの流出説の2つの説を中心に調査を行なってきたが、現状では「どちらの確率が高いか判定するに足る十分な情報は得られていないと見ている」という。

2つの情報機関は動物由来説に傾いているが、人為的流出説に「より傾斜している機関が1つある」こともバイデンは明らかにした。ただし「いずれも確信は持てないか、まずまず持てる程度」だとも付け加える。

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