ロシアが一方的に「併合」を宣言したウクライナ南部ヘルソン州の行政府幹部は28日、同州を流れるドニエプル川西岸からの住民の退避が完了したと明らかにした。ロシア軍は州都のある西岸にとどまり防御態勢を強化している。攻勢をかけるウクライナ軍と激しい戦闘になる可能性がある。
タス通信によると、ヘルソン州の一部を占領するロシアの行政府幹部は28日、「退避は終わった。人々が砲撃の地域から逃れられるようにした」と説明した。市街戦などウクライナ軍との激しい戦闘も想定しているもようだ。
ヘルソン州のロシア占領地域では19日、ウクライナ軍による攻勢を受け、ドニエプル川西岸から住民の組織的な退避が始まった。行政府トップは26日、すでに7万人以上が退避したと明らかにした。
ロシア軍については州都ヘルソンがある西岸から撤退するとの情報も流れたが、28日時点で撤退の兆しは見えない。ウクライナ軍参謀本部は同日、フェイスブックで「右岸（西岸）地域で敵の部隊が強化されている」と分析し、新たに動員された1000人以上の兵士も配備されたと指摘した。
ロシアは9月30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言した。ウクライナ軍は10月21日、南部のヘルソン州で88カ所の集落を奪還したと発表したが、その後大きな戦果は伝えられていない。レズニコフ国防相は10月25日、米テレビのインタビューで、雨による天候不良で前進が遅れていると説明した。
ヘルソンはロシア軍が2月24日にウクライナ侵攻を開始して以降、唯一占領に成功した州都であり、ウクライナ軍が奪還に成功すれば、プーチン政権への打撃は大きい。ロイター通信によると、ウクライナ大統領府長官顧問のアレストビッチ氏は10月25日、「最も激しい戦闘がヘルソンで展開されることになる」と予想した。
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