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米国、ウクライナの併合州奪還へ武器支援 ロシア核誘発リスクも(写真=ロイター) - 日本経済新聞

【ワシントン=坂口幸裕】ロシアは4日、プーチン大統領が一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州を編入する国内手続きを終えたもようだ。米欧は領土奪還をめざすウクライナへの軍事支援を継続する構えだが、4州を自国領と主張するロシアの核兵器使用を誘発するリスクを高めるジレンマも抱えている。

バイデン米大統領は4日に決めた総額6億2500万ドル(900億円)規模の武器支援などをめぐり、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した。バイデン氏は「ウクライナ領の併合を決して認めない。ロシア侵攻から自国を防衛するウクライナに必要な限り支援を続ける」と伝えた。

ウクライナ軍は4州を奪い返そうと戦力を投入する。ゼレンスキー大統領は2日、ロシアが編入を強行したドネツク州の要衝リマンをロシア軍から「完全に解放した」と表明。ヘルソン州の2つの集落も奪回し、他の地域でも攻勢をかけると訴えた。

ウクライナの反攻を支えるのが米欧による軍事支援だ。米政府は6月に初めて供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」を9月28日に追加で18基、4日にも4基を譲渡すると決めた。りゅう弾砲や弾薬なども新たに送る。

米国は断続的に最新鋭兵器を提供しており、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降に168億ドル超の武器支援を約束した。

ハイマースの射程は70キロメートルほどに及ぶ。米国は直接戦火に巻き込まれる事態を避けるため、ロシア領への攻撃に使わないと確約させてウクライナに送った経緯がある。

プーチン氏は9月30日、一方的に4州の併合を宣言した演説で「すべての手段を使用し(国土を)守る」と話し、核兵器を使う可能性を示唆した。4州への攻撃はロシア領への攻撃とみなし、ウクライナが攻撃すれば核兵器で対抗すると威嚇する。

米戦争研究所はプーチン氏の発言を「核の瀬戸際戦術で米国などがウクライナに交渉するよう圧力をかけると誤って判断している」と分析。核使用による戦局の打開は難しく「限られた利益のための大きな賭けであり、戦争目的を達成できない」とみる。

米欧はロシアが核兵器の投入に踏み切る「レッドライン(越えてはならない一線)」を読み切れていない。米政府には「ロシアが敗北しそうになっていると認識すれば核兵器を使うおそれがある」(ヘインズ国家情報長官)との見方がある。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は4日、核使用も辞さないロシアの姿勢を「非常に真剣に受け止めている」としつつ「(現時点で)プーチン氏がその方向に進むと決めた兆候は見られない」と説明した。

ロシアはウクライナで戦況の劣勢が伝えられ、国内ではプーチン氏が発令した部分動員令に若者らが公然と抗議する。併合を宣言した4州でウクライナの優位が固まれば、いら立つプーチン氏が核兵器を使う暴挙に出かねないとの懸念を米国は拭いきれずにいる。

ウクライナはハイマースより射程が長いロケット砲システムなど武器支援の増強を求めているもようだが、ロシアを過度に刺激するのが避けたいのが米欧の本音だ。米国が戦争に参戦すれば核戦争に発展しかねず、ロシアが核を使用しても介入しないとの立場を崩していない。

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