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ウラジーミル・プーチン氏は何を考え、何を計画しているのか - BBCニュース

スティーヴ・ローゼンバーグBBCロシア編集長

Russian President Vladimir Putin. Photo: 10 October 2022

画像提供, EPA

同じ質問を、私たちはもう何カ月も繰り返してきた。ロシアがウクライナに侵攻する以前から。

ウラジーミル・プーチン氏はいったい何を考え、何を計画しているのか。

まず早いうちに、このお断りを入れておく。私はロシア政府の内情が見渡せる水晶の玉を持つわけでも、プーチン氏に直通電話がかけられるわけでもない。

アメリカのジョージ・W・ブッシュ元大統領はかつて、プーチン氏の目をのぞきこんで「彼の魂を感じた」と有名な発言をしている。その結果、ロシアと西側の関係がどうなったかは、言うまでもない。

というわけで、ロシア大統領の頭の中を探ろうとしても、徒労に終わるのは目に見えている。しかしそれでも、試してみるのは大事だ。ロシア政府が最近再び、核兵器を使うぞと世界を脅しているだけに、なおさらのこと。

Short presentational grey line

ロシアの大統領にプレッシャーがかかっているのは、ほぼ確実だろう。いわゆるウクライナでの「特別軍事作戦」と本人が呼ぶものは、プーチン氏にとって困った展開になっている。

そもそも、ほんの数日で終わるはずだったのだ。しかし、まもなく開始から8カ月になるし、終わる兆しは見えない。

ロシア政府は、部隊に「相当」の犠牲が出ていると認めている。この数週間というものロシア軍は、かつてウクライナで占領していた土地を失っている。

というわけで、プーチン氏の頭の中の話に戻る。自分がひどく間違っていた、自分が下した侵攻の決定は根本的な過ちだったと、そう考えているだろうか。

そんな風には思わない方がいい。

「この紛争の状況すべてを動かしているのは、プーチン氏の物の見方だ」と、コンスタンティン・レムチュコフ氏は言う。レムチュコフ氏はロシア紙「ニェザヴィシマヤ・ガゼータ(独立新聞)」のオーナーで編集長だ。

「彼は核保有国の、独裁的指導者だ。彼の権威に挑戦する者は、この国で誰もいない。特定の信念や物の見方に凝り固まり、それに狂ったように突き動かされている。そしてこれは存亡をかけた戦いだと信じ始めている。自分にとってだけでなく、ロシアの未来にとって」

この戦いが存亡をかけたものなら、勝つためにプーチン大統領は何をどこまでする覚悟があるのだろう。

数カ月前から(プーチン氏自身を含む)ロシア当局者は、この戦いで大統領は核兵器を使う用意があるのだと、かなりあからさまにほのめかし続けている。

「(プーチン氏は)やらないと思う」と、ジョー・バイデン米大統領はCNNに話した。「しかし、そういう彼がそういう話をするのは無責任だと思う」とも述べた。

A destroyed Russian tank in Ukraine's north-eastern Kharkiv region. Photo: 7 October 2022

画像提供, EPA

ロシアは今月10日からウクライナ全土を激しく砲撃した。このことから、ロシア政府はウクライナに対して事態を少なからずエスカレートさせるつもりでいる様子がうかがえる。

西側に対しても、そのつもりなのだろうか。

「西側との直接対決は避けようとしているが、同時にいざとなればそのための準備もできている」と、リベラル政治家のベテラン、グリゴリー・ヤヴリンスキー氏は言う。「私が一番恐れているのは、核戦争の可能性だ。二番目に恐れているのが、果てしない戦争だ」。

しかし、「果てしない戦争」には、果てしない物資その他のリソースが必要だ。どうやらロシアにはそれがなさそうだ。ウクライナ各地の都市にミサイル砲撃を次々と繰り広げたのは、劇的な威力行使だった。しかし、ロシアはそれをいつまで続けられるのか。

「これだけのミサイル発射を何日、何週間、何カ月、続けられるのか。それにはミサイルが足りないのではないかと、多くの専門家が指摘している」とレムチュコフ氏は言う。

「加えて、軍事的に言って、何が究極的な(ロシアの)勝利のしるしになるのか、まだ誰も口にしていない。何が勝利のシンボルになるのか。1945年には、ベルリンに掲げられた(ソ連の)旗だった。現在は、何が成功の指標になるのか。キーウに旗がひらめくことか? ヘルソンに? ハルキウに? 私は知らない。誰も知らない」

プーチン氏が知っているのかどうかも、はっきりしない。

2月当時のロシア政府の目的は、ウクライナ軍をたちまち敗北させ、長引く戦争などないままウクライナをロシア政府の勢力圏に引き戻す――というものだったようだ。しかし、プーチン氏は計算を間違えた。自分たちの国を守るというウクライナの軍と国民の意志の強さを見くびり、ロシア軍の能力を過信していたようだ。

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Presentational white space

今は何を考えているのだろう。

併合を一方的に宣言したウクライナの領土に対する支配を固めて、この紛争をそのまま凍結しようというのが、今の計画だろうか。あるいは、ウクライナ全土がロシア政府の影響圏に戻るまで、突き進むつもりだろうか。

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は10日、「現在の構成のウクライナ政府は(中略)はロシアにとって常に直接かつ明白な脅威であり続ける」と書き、「我々の今後の行動の目標は、ウクライナの政治体制の完全な解体であるべきだと考える」と述べた。

メドヴェージェフ氏の言葉がプーチン氏の考えを反映しているならば、血にまみれた戦争は長引くと思ったほうがいい。

A Russian reservist bids farewell to relatives in the Siberian city of Omsk, Russia. Photo: 7 October 2022

画像提供, Reuters

しかし、プーチン氏の国外での行動は、国内に避けがたい影響をもたらしている。クレムリン(ロシア大統領府)はこれまで長年かけて「プーチン氏=安定」というイメージを丁寧に作り上げてきた。プーチン氏が国を仕切っている限り、国民は安全だと、そう信じるようロシア国民に促してきたのだ。

今となっては、それはそう簡単には通用しない。

「プーチンとロシア社会のこれまでの社会契約は、『私が皆さんを守る』というものだった」と、レムチュコフ氏は言う。

「もう何年も、『予測可能』が政府にとって最大のスローガンだった。それが今はどうだ? 何が予測できる? そのコンセプトはもうおしまいだ。何も予測できない。うちの新聞の記者たちも、今日帰宅したら招集令状が届くのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。先のことなどわからないんだ」

ウクライナ侵攻というプーチン氏の決定は、多くを驚かせた。しかし、ヤヴリンスキー氏は驚かなかった。

「(プーチン氏は)もうずっとその方向へ向かっていたと思う。毎年毎年、今の状態へ、道を作っていた」とヤヴリンスキー氏はいう。

「たとえば、独立メディアを破壊した。それは2001年に着手した。独立した企業の破壊。それは2003年に始めた。そして2014年になって、クリミアとドンバスでのことがあった。盲目でなければ見えたはずだ」

「この国の仕組みがロシアの問題だ。(プーチン氏のような)人間を作り出した仕組みが、この国に作られてしまった。この仕組み構築に西側がどういう役割を果たしたか。それは深刻な問題だ」

「この仕組みは、社会を作り出さなかった。ロシアにはとてもいい人が大勢いる。けれども、この国には市民社会がない。ロシアが抵抗できないのはそのせいだ」

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