【パリ=白石透冴】ブリンケン米国務長官は8日、ウクライナの首都キーウ（キエフ）を訪問した。ウクライナや欧州諸国に28億ドル（約4000億円）規模の追加軍事支援を実施すると発表した。ウクライナ軍による南部や東部での反転攻勢を後押しする。
ブリンケン氏は訪問予定を事前に公表していなかった。同氏のキーウ訪問は4月以来となる。
米政府はウクライナに6億7500万ドル相当の武器を供与する。りゅう弾砲や弾薬が含まれる。これとは別に22億㌦規模の軍事支援を実施すると米議会に通知した。ウクライナに加え、ロシアの脅威にさらされる中東欧諸国など18カ国の支援にも使う。
オースティン米国防長官は8日、ウクライナの防衛について協議する関係国会合をドイツ西部の米空軍基地で開いた。バイデン大統領も同日、関係国の首脳と電話会議を実施し、ウクライナ支援を確認する見通しだ。
ウクライナ軍は東部ハリコフ州で攻勢を強めている。ハリコフ州のシネグボフ知事は8日、同軍が「20以上の集落を解放し、ロシア軍の防衛線を破って50キロメートル前進した」とSNS（交流サイト）で明らかにした。ネット上では破壊したロシア軍の拠点を歩くウクライナ軍兵士の動画が多数出回っている。
米シンクタンク戦争研究所は7日、「ロシア軍が南部に兵力を移動したことを利用し、ウクライナ軍は非常に効果的な攻撃を東部で始めたようだ」との分析を発表した。同軍は南部ヘルソン州で占領地の奪還作戦を始めたことから、ロシア側は援軍を南部に送る動きをみせていた。ロシア軍は東部で不意を突かれた可能性がある。
ウクライナ軍は東部、南部で米国から供与された高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使い、ロシア軍が使う武器庫や橋などを破壊しているもようだ。英国防省は8日、ヘルソン州での戦闘について「ウクライナ軍が精密攻撃を加えており、ロシア軍が東部から補給を受ける能力をそいでいる」と分析した。
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