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殻から脱し欧州との連帯目指す尹外交 - 産経ニュース

韓国の尹錫悦大統領(聯合=共同)

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への参加は、朝鮮半島とその周辺国という殻に閉じ籠もってきた従来の韓国外交からの転換を意味する。北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻と連動するように軍事的挑発を強める中、尹氏は4年9カ月ぶりの日米韓首脳会談を通じ、日本とも安全保障協力に焦点を絞り、関係改善へ第一歩を踏み出した。

「韓国が自由民主主義と人権、法治主義を守る先頭に積極的に立つと明らかにするためにここに来た」

29日の会議を前に、韓国大統領府国家安保室の金泰孝(キム・テヒョ)第1次長は、韓国大統領として初のNATO会議出席の意義をこう強調した。

「国際社会で価値と志を同じくする国同士で力を合わせようということだ」とも指摘。北朝鮮との融和を優先させ、北朝鮮やその後ろ盾の中国の人権問題にも口をつぐんできた文在寅(ムン・ジェイン)前政権とは一線を画し、自由民主主義という価値観を共有する欧米諸国との連帯を目指す方針を説明した。

韓国では、米中露と日本が「4大強国」と呼ばれ、文政権に限らず、朴槿恵(パク・クネ)政権など保守政権でも「北朝鮮問題を解決するため、4大強国をどう動かすか」という観点から外交戦略が描かれてきた。だが、ウクライナ情勢が韓国経済にも影響を及ぼす中、過去の外交路線の限界が露呈した。

しかも、北朝鮮はウクライナ侵攻を受けた米欧と中露との対立で国連安全保障理事会が機能不全に陥るのを見越し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を相次ぎ発射して核実験を準備するなど、あからさまに挑発の水準を高めている。欧米やロシアの情勢と対北安保が切り離せなくなっている。

日米韓首脳会談も北朝鮮と国際情勢を巡り、日米韓が共有する危機感が開催の背景にある。韓国大統領府高官は「日米韓安保協力の唯一のターゲットは北朝鮮と北の核問題だ」とし、差し迫った状況に言及した。

北朝鮮による5月下旬のICBM発射後、日米韓外相が速やかに共同で非難声明を出すなど、急速に深まる対北連携とは異なり、いわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題を巡る日韓の協議は進んでおらず、日韓首脳会談は見送られる見通しだ。

発表できる成果がなければ「しない方がいい」(高官)と判断したという。ただ、韓国政府高官は「日本側は(来月10日の)参院選が終わるまで動くなという立場」と漏らし、協議の遅れは主に日本側の都合との見方を示すなど、歩調の不一致もうかがわれる。

NATOが今回、中国の脅威を正面から扱ったのに対し、韓国政府は反中とは「関係ない」と繰り返し説明。中国の顔色をうかがう旧来の外交から脱し切れない一面も見せている。

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