北朝鮮が11月20日、ウクライナに侵攻するロシアに砲弾など軍需物資を鉄道で輸送していたことが、北朝鮮事情に詳しい関係筋の話で分かった。同筋によると、鉄道を使った最初の武器供与だったという。これに先立ち北朝鮮とロシアは数カ月間、数百万ドル(数億〜十数億円)規模の砲弾やロケット弾の売却交渉を続けていた。北朝鮮によるロシアへの武器供与の具体的な事実が確認されるのは初めて。両国がともに国際社会の批判を浴びる中、関係を深めていることが明確になった。(編集委員・城内康伸)
関係筋によると、北朝鮮からの軍需物資の輸送は11月20日、北朝鮮北東部・
ロシアによる北朝鮮の武器購入を巡っては、米国防総省の報道官が9月6日、砲弾を購入しているとの見方を示した。11月2日には米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が、ロシアがウクライナでの戦闘に使うため、北朝鮮からひそかに相当量の砲弾の供給を受けているとの情報があると明らかにした。
これに対し、北朝鮮国防省の装備総局副局長は9月21日付の談話で「ロシアに武器や弾薬を輸出したことはなく、今後もそうした計画はない」と否定。平壌のロシア大使館も11月17日、米国の主張を非難し、「全く根拠がない」と反発していた。
国連安全保障理事会は過去に採択した複数の制裁決議で、核・ミサイル開発を理由に北朝鮮の武器輸出を全面的に禁止している。
北朝鮮は新型コロナウイルス対策として2020年1月下旬、中国やロシアとの国境を封鎖。これに伴い、ロ朝間の鉄道運行は2年9カ月間中断していたが、11月2日に貨物輸送が再開された。
ウクライナ侵攻が長期化する中、欧米などの制裁によって、ロシアの武器調達能力が低下している可能性が指摘されている。これまでにイランが無人機(ドローン)をロシアに提供したことが判明している。
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