大統領選での敗北を未だ認めていないドナルド・トランプ大統領が、23日、ついに政権移行業務を容認した。トランプ陣営に振り回されっぱなしのバイデン次期大統領だが、彼が就任した暁には、日本を含むアジア諸国とどのような関係を築くのだろうか。 あまりにも大きいトランプ大統領の影響下で、新政権はどのような貿易政策を打ち、アメリカにとって「脅威」である中国とどう向き合うのか──「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」がさまざまな専門家に話を聞いた。
根深く残る「トランピズム」
「ドナルド・トランプが敗れてもトランピズム(トランプ主義)は続く」 これは、アメリカ大統領選挙以前にジョー・バイデンの勝利を予測していたいくつかの政治論評で一貫していた見解である。 この度、バイデンが第46代アメリカ大統領に選出されたことで、トランプ大統領の任期は1期で終わることとなった。ここで「トランピズムは生き続ける」という言葉に真実味が帯びはじめるのだ。 バイデンはこれまでの大統領候補者のなかで最も多くの票を獲得し、政権につく体制を整えている。だが今回の開票結果は同時に、ある事実を示していた。トランプが地方で支持層を拡大し、その過程で共和党が上院の過半数を獲得する可能性があるのだ。 トランピズムとは、粗暴さと経済ナショナリズム、マジョリテアリアニズム(多数決主義)──そして多くの評論家によると、人種差別と権威主義への傾倒──が混ざり合った「教義」だ。これが今なお、多くの称賛者を集めている。 開票結果によると、トランプは7000万をはるかに超える票を獲得していた(11月8日時点)。これは全投票数の48%にあたる。トランプ政権の新型コロナウイルス対策があまりにひどかったことを受け、リベラルな専門家たちが民主党を圧勝に導く「青い波(ブルーウェーブ)」が起こることを予測していたにもかかわらず、こうした結果が出たのだ。 「フィナンシャル・タイムズ」の政治評論家エドワード・ルースが選挙前に書いた記事によると、アメリカ国内におけるトランピズムの隆盛につながった「要素」がすぐに消え去ることはないという。この「要素」とはすなわち、国内で見られる過剰な党派心や、ブルーカラー層の失望感、中国(あるいは「中国の脅威」)の台頭、そして中間層の不安感といったものだ。 バイデンは11月7日、こうした困難についてよく理解していると語っていた。勝利の数分後に彼がツイッターに投稿したコメントを「ニューヨーク・タイムズ」や「AP通信」といった主要メディアが取り上げている。 「私に投票したかどうかにかかわらず、すべてのアメリカ人の大統領になる」 また、選挙結果が判明する前に行われたテレビ演説で、バイデンは人々に「怒り」を脇に置き、「悪魔化」しないようにと強く語りかけた。 「今こそ我々は国としてひとつになり、傷を癒す時なのです」 しかし彼は、相対する政治勢力を、過去2年間で完全に退けることは叶わなかった。そのためバイデンの歩む道の先にあるのは「はかり知れないプレッシャー」と、政策を進める「あらゆる段階で窮地に立たされる」可能性だ──政治学者でユーラシア・グループの設立者でもあるイアン・ブレマーはそう語る。 さらに彼いわく「アメリカが最も分断された先進国になる可能性がある」という。トランピズムの影響は共和党議会や、上院の党集会に現れる可能性が非常に高いと彼は見ているのだ。 スタンフォード大学でアジアにおけるアメリカ外交政策を研究するダニエル・スナイダーは、次のように話す。 「トランピスト(トランプ主義者)運動は今後も根強く続き、特に共和党内で顕著となるでしょう。トランプの影響力が強い拠点なので、彼のやり方に反対する議員がいないのです」 この事実は、世界中のアナリストが認識している。 2022年の中間選挙で民主党の優位性を高めつつ、党派の分断を本気で埋めたいのであれば、「バイデンはトランプの構想や施策を取り入れざるを得ない」。政治学者であり、タイのチュラロンコーン大学で外交政策を研究するティティナン・ポンスティラックはそう語る。
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