韓国法相による職務排除に検事350人が集団反発「嘆かわしい」との声も - livedoor

　憲政史上初となる現職検察総長の職務排除という事態を受け、一線の検事の反発が「検察の反乱」に拡大する兆しを見せている。大検察庁の研究官らは25日、会議を開き、「秋美愛（チュ・ミエ）法務部長官の指示は違法で不当な措置だ」とする声明を出したのに続き、釜山地検東部支庁の検事らも全国の検察庁で初めて、末端検事による会議を開き、同様の立場を表明した。検察の内部通信網に批判の書き込みをしていた検事の反発が「声明」という形で団体行動につながり、反発のレベルが高まっている格好だ。

■検察に反乱の前兆

　大検察庁に所属する司法研修院34期以下の検察研究官（検事）は同日午後の会議で声明を作成した上で、検察総長の職務代行を務める趙南寛（チョ・ナムグァン）大検察庁次長に提出したという。しかし、趙次長は「ちょっと待ってもらいたい」と声明発表を先延ばしさせようとしたため、一部研究官が反発したとされる。法曹界関係者は「大検察庁の研究官は全国の一線幹事による会議が開かれる前に大検察庁の検事が先に声明を発表すべきとの立場だった」とし、「研究官で最も先輩格である34期の研究官が回答を示さない趙次長に対し『声明を発表する』と主張し、検察の内部通信網に掲載したと聞いている」と話した。

　釜山地検東部支庁も同日、全国の検察庁で初めて末端の検事が会議を開き、声明を発表した。検事らは検察の内部通信網に掲載した声明で、「尹総長の職務停止は国家の準司法機能を遂行すべき検察制度の中立性と独立性を深く傷つける措置であり、再考されるべきだ」と主張した。

　末端検事がこうした会議を開いたのは7年ぶりだ。2013年に婚外子疑惑が浮上した蔡東旭（チェ・ドンウク）元検察総長が辞意を表明した際にソウル西部地検で開かれた例がある。個別の検察庁から全国的に拡散する兆しも表れている。他地域の一部検察庁でも検事らの動きがあったとされる。ある検事は「政権の不正疑惑を捜査していた検事をあぶり出す『虐殺人事』、尹総長の辞任を迫る相次ぐ捜査指揮権発動、検察への不当な指示反発など秋長官に対して募っていた検事らの怒りが爆発するのではないか」と話した。

■「ゲッベルスが思い浮かぶ」

　24日から25日にかけ、検察の内部通信網イープロスに秋長官を批判する検事の文章が6件掲載され、それに同調するコメントは25日午後に350件を超えた。朴槿恵（パク・クンヘ）前大統領を捜査した金昌珍（キム・チャンジン）釜山地検東部支庁部長検事は同日、「長官が発表した総長の懲戒請求理由は『懲戒権者がその気になれば、誰でも懲戒を通じて職務排除できる』ということを明確に確認させた。違法で不当な懲戒権行使を座視しないことが国民が我々に付与した義務だと思う」と指摘した。金昌珍検事の文章には、チョ・グク前法務部長官を巡る疑惑の捜査を担当した高ヒョン坤（コ・ヒョンゴン）大邱地検部長検事がコメントを付け、「無法の天地になるさまを見て、無力で自戒の念を覚える。違法な懲戒請求と職務排除に断固反対する」とコメントした。別の一線検事は「こうしたことが2020年の大韓民国で起き得るとは信じられない。検事としての使命感が踏みにじられた思いだ」と書き込んだ。

　金勁穆（キム・ギョンムク）水原地検検事は24日、「政権勢力である政治家出身の長官が検察改革という名目で検察総長を追い出せるというつらい前例が大韓民国の歴史に残った」とし、「検察に対する『民主的統制』とは政権勢力が非難する捜査はしてはならないという意味ではない」と指摘した。金秀ヒョン（キム・スヒョン）済州地検人権監督官は「不法、不当な総長職務排除に断固反対します」と題する文章で、「あまりにとんでもないことが大したことでもないように起き、どう言ったらよいのか分からない」と書いた。金監督官の文章には「ゲッベルス（ナチス政権のヒトラーの側近で、宣伝・扇動を統括した人物）が思い浮かぶ一日だ」「荒唐無稽だ。職業の選択を誤ったと思えるほど自戒の念を覚える朝だ」「ここまで来れば絶対王朝ではないのかと思う」などというコメントが付いた。

　金ジュン圭（キム・ジュンギュ）元検察総長は本紙の電話取材に対し、「あり得ないことだ。政権の誠意的な思惑でまるで計画を立てたかのように尹錫悦総長の排除を図っている。長官が騒ぎ立て、任命権者である大統領が沈黙していることには別の思惑がある」と指摘した。大統領選当時、文在寅（ムン・ジェイン）候補の選対で公益情報提供支援委員長を務めたシン・ピョン弁護士はフェイスブックを通じ、「目の前で起きている前代未聞の秋美愛活劇を見ていて嘆かわしい。与党の党籍を持つ彼女が捜査指揮権を口実に大なたを振るい、政権に対する捜査を阻止している」と述べた。

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