米マンション崩落事故「3つの謎」…設計図と3年前の点検報告書を入手。専門家分析で見えてきた“原因”の可能性 - FNNプライムオンライン

安否不明多数…家族を待ち続ける人々

アメリカ・マイアミ近郊で起きたマンションの崩落事故。今なお150人以上が安否不明のままだ。

現場で家族の帰りを待ち続ける人たち…。マンションの前には、再会を願う大切な人の写真が張り出されていた。

この記事の画像（8枚）

女性：
かなり時間がかかるかもしれないですが、生還するのを願っています。

男性：
（安否不明の友人は）家族のような関係でした。僕はここで、ただ待ってる。希望は最後まで持ち続けます。

懸命に続けられている安否不明者の捜索活動。

ディレクター：
あちらでは今、レスキュー隊員たちが作業を続けています。

現場には煙が漂っていた。火災も発生し、捜索は難航しているという。

謎(1) 時間差の理由は？　“崩落ドミノ”が起きたか

寝静まった深夜に、突如崩れ落ちた12階建てのマンション。なぜ崩落は起きたのか？今回、Mr.サンデーは、3つの謎に注目した。

改めて映像を見ると、中央部分が崩れ落ちた後、遅れて右側も崩落した。この時間差のワケとは？

建築物の構造に詳しい京都大学の林康裕教授は、映像からこう読み解いた。

京都大学​ 林康裕教授：
最初の倒れ方が、下に引っ張られるように壊れていっているので、おそらく前面の下の方からかと思うんですけれども、連鎖的に壊れていったのかなと。1カ所の崩壊がトリガーになって、ドミノ倒しのようになって倒れていく。

連鎖する“崩落のドミノ”。それは過去にも起きている。

ロンドンの24階建てマンションでは、最上階から雪崩のように崩れ落ちている。18階でガス爆発が起き柱が破損したことで、上の階を支えられなくなり、崩れた衝撃が上下の階に連鎖していった。

今回の事故も“崩落ドミノ”が起きた可能性が考えられるという。

しかし、ロンドンの崩落は一角のみで収まっている。一方、今回のマンションを見ると大部分が、がれきと化した。なぜここまで大きく崩れたのか？

謎(2) なぜ大規模な崩落が起きたのか

今回、Mr.サンデーはマンションの設計図を独自に入手。崩落の謎を解くカギが見えてきた。林教授に分析してもらうと…

京都大学​ 林康裕教授：
ここは耐震壁がきているんですけれど、耐震壁がある部分が残っているんです。

設計図を見ると、エレベーターの横にだけ強度の高い「耐震壁」が確認できる。耐震壁から先は、建物が残っていた。崩落した側は約40本の柱も確認できるが…

京都大学​ 林康裕教授：
構造的には、柱も梁も細くて無いに等しいです。非常に細いです。日本で考えられないような

日本と違って地震が少なく、通常は柱が細くても問題ないというが…。

謎(3) 崩落のトリガーは？住人が聞いた奇妙な音

そして、最大の謎。マンションの中央部分から崩れ落ちた要因とは、そもそも何だったのか？

マンションの11階に暮らしていた祖母と母親が今も安否不明だという、パブロ・ロドリゲスさんが取材に応じてくれた。

パブロ・ロドリゲスさん：
母の大好きな場所の1つが東京と京都で、一緒に行く予定でした。今の事態が収まれば、すぐにでも（日本に）行くつもりです。

祈るように待つ、家族との再会。その母親は崩落の前日、電話でこう話していたという。

パブロ・ロドリゲスさん：
（前日）朝3時から4時頃にキーキー鳴る音で目が覚めて、それから眠れなかったと話していました。普通の建物が立てる音ではないと。母が起きるくらい大きな音だったんです。

母親が崩落前日の早朝に聞いていた軋むような音。林教授は、崩落の要因は複合的であるとした上で、可能性の1つを指摘した。

京都大学​ 林康裕教授：
「塩害」みたいなものは、長い間で進行していきますので。鉄筋が錆びて膨張して、コンクリートの強度を発揮しなくなるという事はあります

マンションが建っているのは、リゾート地・マイアミビーチのすぐ側。その周辺には…

ディレクター：
崩壊したビルは海の横にあって、潮風をまともに受ける環境に建っています

マンションは築40年。長年、潮風を浴び続ける環境にあった。

「修復が必要」3年前の調査報告書

番組が入手したのは、2018年にマンションの点検が行われた際の調査報告書。壁に大きな亀裂が入ったり、駐車場の柱など複数の箇所に亀裂が生じている様子が、写真に収められている。

こうした箇所から塩分が入り込むと、塩害を引き起こす可能性があるという。崩落との因果関係は不明だが、実は、当時の調査報告書でも既に「亀裂などの修復が必要」との見解が示されていた。

悲劇は防げなかったのか…。現地当局は、安否不明者の捜索と崩落の原因究明を進めている。

（「Mr.サンデー」6月27日放送分より）

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