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ロシア、ウクライナ情勢の緊張緩和のため条件提示 - BBCニュース

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ロシア政府は17日、緊迫するウクライナ情勢を緩和させるための条件として、北大西洋条約機構(NATO)に対して、東欧での活動を大幅に縮小するよう求めた。ウクライナ国境に部隊を集結させているロシアが来年1月にもウクライナに侵攻するのではないかと懸念される中、NATOが要求に応じる可能性はきわめて低いとされている。

ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は17日、ビデオ記者会見を開き、アメリカとNATOにそれぞれ条約草案を渡したと述べた上で、その内容以外に選択肢はないと強調した。次官はその上で、「ロシアと西側全体との関係は、完全に信用が欠如している状態にある」と話した。

ロシアはNATOへの要求の中で、旧ソヴィエト連邦崩壊後にNATOへ加盟した国々は、ロシアにとって脅威となる地域に部隊や兵器を配備してはならないとしている。そうしたNATO加盟国は、それぞれの領空・領海の外に重爆撃機や艦船を展開してはならないとも要求している。またウクライナのNATO加盟を認めないように求めた。

これに応じた場合、NATOはバルト三国やポーランドで実質的に活動できなくなる。さらに、NATOはウクライナやジョージアの加盟を諦めなくてはならなくなる。

アメリカをはじめ西側諸国が、ロシアによるウクライナ侵攻への危機感を高める中、ロシアはウクライナ侵攻の可能性を否定する一方で、ウクライナやジョージアなど位置的にロシアに近い国々がNATO加盟国となる可能性を封じようとしている。

米ロ対話は

ロシアはウクライナ情勢について、アメリカと緊急協議を求めている。アメリカ側は、自分たちは協議に前向きだが、その場合は自分たちの懸念も話題にするつもりだとしている。

アメリカのジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は17日、「欧州の安全保障問題について我々はロシアと、この20年間、対話を続けている」と述べた。ワシントンにある米シンクタンク外交問題評議会で講演したサリヴァン補佐官は、「(ロシアとの長年の対話は)進展を生み出したこともあり、膠着(こうちゃく)状態を生み出したこともある。しかし我々は基本的に、対話する用意がある」と話した。

ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は同日、アメリカが単独でロシアとの協議に入ることはあり得ないと述べた。「欧州の安全保障について、欧州の同盟各国やパートナーなしに、我々が協議することはない」とした。

NATOはそもそも、冷戦が激化した1949年、ソ連圏への対抗手段として設立された米国・カナダおよび欧州の軍事機構。冷戦終結後にはチェコ、ハンガリー、ポーランドなど東欧諸国、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国も加わり、現在は30カ国が加盟する。

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<分析> ロシアの無理な要求――スティーヴ・ローゼンバーグBBCモスクワ特派員

外交とは可能性の芸だった。少なくとも、これまでは。

ロシアの外交官たちが取りまとめた条約草案に、アメリカやNATOがこのまま署名するなど、まるで想像できない。相当の修正を加えなければ、とても無理だ。

ロシアは、NATOに誰が加盟するかについて、拒否権を要求している。まったくあり得ない話だ。NATOはこれまでも、NATO加盟についてロシア政府に発言権はないと繰り返している。

加えてロシア側は、時計を1997年5月まで巻き戻そうとしている。NATO・ロシア憲章が締結されたこの時より後に、NATOに加盟した国には、NATOの兵や武器の配備を認めないとロシアは言う。ロシアを脅威とみなすバルト三国は、これをどう思うだろうか。

西側が応じられるはずのない無理な要求を自分たちがしていると、ロシアは百も承知だ。ならば、なぜこのような要求をするのか?

もしかすると、交渉戦術なのかもしれない。あり得ないほど高い要求をしておいて、一定の譲歩を引き出そうとしているのかもしれない。

あるいは、国内向けのアピールなのかもしれない。ロシアと西側の高まる緊張関係は、ロシア政府のせいではないのだと、自国民を説得しようとしているのかもしれない。

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ロシアは2008年8月にジョージアに軍事介入した。2014年にはウクライナ東部の親ロシア勢力の分離運動を支援した後、ウクライナ南部のクリミア半島を併合した。

ウクライナ東部での紛争は2014年4月に始まった。これまでに1万4000人以上が犠牲になり、死傷者は今も増え続けている。

このところロシアがウクライナ国境に新たに部隊を集結させ、軍備を増強していることから、ロシアが再びウクライナを侵攻するのではないかと懸念が高まっている。

欧州連合(EU)の各国首脳は16日夜の首脳会議で、ロシアがウクライナを侵攻すればひどい事態になると懸念を示し、事態打開のため外交努力を強化すると共に、対ロ追加制裁の可能性に言及した。

EUは、フランス、ドイツ、ウクライナ、ロシアの4カ国によるいわゆる「ノルマンディー方式」を交渉手段として優先させるべきだとしている。一方のロシアは、それよりもアメリカとの協議を優先させたい姿勢を明確にしている。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ロシアがウクライナ国境の軍備を減らすどころか、「戦闘態勢の部隊、戦車、大砲、装甲部隊、ドローン、電子戦システム」などを配備し、兵力を増強していると警告している。

A Ukrainian serviceman is seen on the front line near the village of Travneve in Donetsk region, Ukraine, December 15, 2021

画像提供, Reuters

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は15日、ロシアが軍事行動を開始する前に、ただちに経済制裁を開始してもらいたいと述べた。

ウクライナはEUとロシアの両方と国境を接するが、ロシアとは社会的・文化的に深いつながりがある。

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